2021年11月27日土曜日

「効率的」という病の自覚を

 

 昨年来の新型コロナウィルスの流行は、数年はかかると思われる生活へのネット技術の社会装備を、単年度で実現してしまい、今後もさらに進化し拡大していくのだろう。ただ最近気になる言葉が話題となっている。「スマホ脳」だ。

これは一日2時間以上のスマホ利用によって、鬱や睡眠障害のリスクに晒された脳のことらしい。この事実を熟知している米国のIT関連の事業家は、自分の子どもにはスマホの使用制限を徹底させているそうだ。とすれば、スマホの「ながら視聴」こそ効率的な情報収集スタイルだと思い込み実行していた私としては、その危機感の下使用制限を試みた。

結果はどうか。今まで私の脳に無差別に乱入していた言葉の代わりに、頭の中にぽっかりと小さな自分の部屋が出来たような感覚が生まれ始めた。ひょっとしてこれが今話題のマインドフルネス状態なのだとすれば、利便性から距離を置くことこそ、地頭を強化することなのかもしれない。


※本文は、令和3年11月27日に山陰中央新報紙の「こだま欄」に掲載された文章です。

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