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2017年4月11日火曜日

日本文化の進化に学ぶ

一般的に、日本文化は「玉ねぎ文化」と揶揄されるが、多くは鎖国制度をとっていた江戸時代に、アジアや欧州から秘密裏に運び込まれた外来の製品をヒントに、日本流に改良する文化が定番化したことから、現在に伝わる伝統工芸品の大半は、日本固有の技術に由来していないことに由来している。
 しかしここで考えねばならないことは、そもそも文化とは突然発生するものではなく、様々な内外の事象の影響がある中で、自国の風土に適合した創意工夫をし、固有の感覚に合った選択をする空気感を共有することで生まれるものだと思う。
 インターネット検索が常識化した現代、様々なアイデアや知識が発信・共有され、「なんちゃって知識人」がはびこる今重要なのは、日本文化が歩んだ歴史、つまり「模倣」をしつつ一歩進んだ世界観を作り出すという姿勢こそが、次の時代を生み出すことに他ならない。

2017年4月8日土曜日

間違ったタイアップ

今話題の金沢で、もともと油や砂糖、小麦粉を使わないヘルシーなカレーで人気のお店で、久谷焼きの器に金箔を施したカレーを盛り、デザートは山中漆器のスプーンや器を使った、金沢満載のカレーセットを2500円(税別)で、1日7食限定で販売を開始されたようだ。
http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20170408/CK2017040802000049.html

 多分伝統工芸品の販促の一部として、大衆的な料理に活用することで、親しみを持たせ、少しでも伝統工芸品の拡販を、との思いで始まったのだと思うのだが、この手のタイアップはほとんど成果を生まない。SNSに旅の記念としてシャメに収め、一時話題性を狙った投稿は当然あるのだが、だからと言って、普通に話題のカレーを食べるならば1000円程度で食べれるメニューだけに、これで伝統工芸品の販促に繋がることを期待していいものか。その意味で、結果を生まない試みだと思う。

 そもそも伝統工芸品が何故売れないのかと言えば、美術品としては理解しているものの、シェアエコノミーが広がる現代において、その価格で足踏みしている人が殆どであるから。収入格差が明確な現代におい て、「美しいから購入したい」とする日本人は数少ない。比較的余裕のある人は、日本の伝統工芸品に対して、既に購入し続けているし、ただその数が減少している。

 ではどうすれば少しでも伝統工芸品に目を向けるかと言うと、例え普段使いが出来ないにしても、たまの「ハレの日」にはこれを使いたい!と思えるスライスオブライフを提案することにしか存在しないと思う。

 私自身も伝統工芸品は大好きだし、職人の減少を外国人が支える実態を何とかしなければと考える方だが、安直で補助金を使えば良いといったような施策を繰り返す、地域の名士様の言いなりの施策は時代遅れという認識を地域では共有しなければならないのではないかと思っている。

2015年4月6日月曜日

心が宿る伝統工芸


 伝統工芸品には、当然ながらその地方の歴史や文化、作家の心が宿っている。
 ただ、写真の「交換こけし」には、さらに買った人の気持ちと、もらった人の思い出が宿ることで、単なる伝統工芸品としてではなく、「作り手」が「買い手」と「もらい手」を繋ぐ世界観を髣髴とさせ、癒しが拡がり、実生活に取り入れてみたい気分にさせてくれる。

 この作品は、BS朝日のテレビ番組『アーツ&クラフツ商會 presented by セキスイハイム』で、放送作家の小山薫堂さんが企画・監修した伝統工芸品らしいが、さすが小山さん。感性が進んでいる。素晴らしい。

 約200年の歴史がある「こけし発祥の地」と言われる宮城県北部・鳴子温泉郷でつくられる「鳴子こけし」をフィーチャーして創作されたそうだが、一方通行では終わらない、様々な「手」を結んだ関係性マーケティングの要素を盛り込んだ本作品は秀逸だと思う。これでいいのだ!!!

2015年3月24日火曜日

素直に欲しい、富士山ロックグラス


 観光省後援の「おみやげグランプリ2015」にて最優秀賞を受賞した江戸硝子富士山ロックグラス。注ぐ水の色により、様々な富士山が現れる。
 
 素直に欲しい。ただ、今予約しても2か月待ちだそうだ。人気が出るのもうなずける。
 
 伝統工芸作品の美しさは当たり前ではあるが、そのものが日常的に自分に何を与えてくれるかが創造しやすモノこそが、購入意欲を掻き立てるし、ビジネスとして成立するのである。
 
 2か月待ってでも是非購入したい。

2011年7月1日金曜日

ライフスタイルに同期した手仕事品マーケティングを

藤林徳扇 作
先日福井県で「和紙、漆器など伝統的工芸品を高機能化」の記事が掲載された。

 非常に良い試みで、その成果を期待するのみである。従来型の既存の素材をベースに、デザイナーとのコラボレーションで新製品発表を行う事例では限界が見えており、素材自体を革新していくことは今後発展的な要素をもたらすものと思える。

 但し多少なりとも不安があるのは、商品化した後のその価格帯と訴求内容である。

 手間暇掛る手仕事モノは、どうしても高価格帯にならざるを得ない。これは当たり前だとしても、今の伝統工芸産業においての大きな壁とも言える。高いからダメ、と言う事ではなくて、そもそも現在の若年層を中心として、伝統工芸品は“美術品”としての認識が高く、日常品として認知は低い。それ故に、わざわざ高額な商品を購入したいという“空気”が存在しない限り、拡販の可能性は限りなく低いと言わざるを得ない。

 伝統工芸品は日本の宝である。しかし残念ながら、“観賞作品”としての認識を突き破るだけのマーケティングを導入しな限り、伝統工芸品の復興はありえない。

 よって、日本の伝統文化を現状の生活空間に活かす意義を含めた価値観を持たせたメッセージが付随したプロモーションを展開しなければ、市場の拡大は望めない。

 現在私も、微力ながら日本の伝統文化を現代の生活空間になじむ商品開発を行っているが、伝統工芸に関わる全ての方々に対して、このテーマに沿った“一般生活の空気感”の変革を促すプレゼンテーションを前提としたマーケティング戦略を実施していただきたと切に願っている。

今こそ寛容性を取り戻そう

   今米国では、「メリークリスマス」が禁句になっていることをご存じだろうか。その理由は、キリスト教徒の祝祭を非キリスト教徒に強要することに繋がるから、だそうだ。現在欧米を中心に、宗教的側面だけではなく、人種的あるいは性別的側面等において、社会全体を同質化させようとする運動が静か...