2011年7月1日金曜日

ライフスタイルに同期した手仕事品マーケティングを

藤林徳扇 作
先日福井県で「和紙、漆器など伝統的工芸品を高機能化」の記事が掲載された。

 非常に良い試みで、その成果を期待するのみである。従来型の既存の素材をベースに、デザイナーとのコラボレーションで新製品発表を行う事例では限界が見えており、素材自体を革新していくことは今後発展的な要素をもたらすものと思える。

 但し多少なりとも不安があるのは、商品化した後のその価格帯と訴求内容である。

 手間暇掛る手仕事モノは、どうしても高価格帯にならざるを得ない。これは当たり前だとしても、今の伝統工芸産業においての大きな壁とも言える。高いからダメ、と言う事ではなくて、そもそも現在の若年層を中心として、伝統工芸品は“美術品”としての認識が高く、日常品として認知は低い。それ故に、わざわざ高額な商品を購入したいという“空気”が存在しない限り、拡販の可能性は限りなく低いと言わざるを得ない。

 伝統工芸品は日本の宝である。しかし残念ながら、“観賞作品”としての認識を突き破るだけのマーケティングを導入しな限り、伝統工芸品の復興はありえない。

 よって、日本の伝統文化を現状の生活空間に活かす意義を含めた価値観を持たせたメッセージが付随したプロモーションを展開しなければ、市場の拡大は望めない。

 現在私も、微力ながら日本の伝統文化を現代の生活空間になじむ商品開発を行っているが、伝統工芸に関わる全ての方々に対して、このテーマに沿った“一般生活の空気感”の変革を促すプレゼンテーションを前提としたマーケティング戦略を実施していただきたと切に願っている。

今こそ寛容性を取り戻そう

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