(本記事は、平成25年5月9日に旧サイトで公開したブログです)
存在を識別するための存在として“印”がある。これは企業にとってはローゴやマークであり、個人においては氏名や自筆のサイン、または印鑑等がそれにあたる。つまり世の中に存在する物には全て“識別のための印”が必要であり、逆に“出自”を明確にするという世のニーズがあることだなのだろう。
しかし日本にはその“出自”を強制的に消失させてしまう習慣が存在する。それは「結婚」だ。女性とは結婚をすると大抵は「嫁入りした先」の姓に変わり、女性は旦那の“出自”に吸収されることとなる。企業の場合だと吸収合併された企業名が無くなることと同様だが、ただ企業によっては、合併当初だけは双方の名称を併記して船出する場合があったりする。ただ結婚の場合は違う。結婚した日本人で両姓を併記する習慣はないため、ほぼ女性は男性の姓を語るようになる。女性の実家としては「嫁に出した」、男性の家としては「嫁にもらった」訳だから当然と言えば当然。しかし女性が社会生活を実質的にリードしている状況の中、「事実婚」を選択する人も増えてきていることもあり、この日本の習慣も修正すべき時期にきているように思えてならない。
本日の日経新聞朝刊「ART REVIEW」面で「母から娘へ 女紋」の記事が掲載されている。この「女紋」に関しては以前本ブログでも取り上げさせて頂いていて非常に興味があるのだが、実はこの習慣を全国に広げられないものかと思っている。夫婦として一つの“印”を築いていくのだから従来通りで問題は無いと言われればそれまでだが、結婚という形が女性の「吸収」ではなく「併存」という意味合いとして認識が広がれば、アホ社会化した日本文化の変革に繋がるような気がしてならないからだ。ビジネス的な話題の中で「セルフ・ブランディング」の重要性が語られるが、それは生活全般に言えることであり、結婚という形においてもその意味合いを導入することができれば、離婚率の低下やモラルの向上も見られるかもしれないと思っている。
「女紋」を全ての女性が持つことで世の中が変わる、とは大げさだとは思うが、ただ一生持ち続けさらに継承していく「女紋」を全ての女性が持つという、新しい文化を作り出していくその『過程』を考えると、意義は大きいとのではないか。また「自分の印」の永久表示は、日本の美徳の継承の支えになることを期待している。
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