2017年4月5日水曜日

ロボットでは介護問題は解決しないんです

HALとか介護関連のロボット導入の話題が今再燃している。
確かに介護には力仕事の部分は存在しており、ロボットのサポートがあれば楽に実行できる部分もあるのは確かだ。しかし、私は現場の人間ではないにしても、業界における介護問題の多くは、マインド・コントロールの部分にある。
 要介護者によってサポート内容は 変わるにせよ、大半は排便の問題や、徘徊や暴言による介護者における人としての尊厳部分をどう相対するかにかかっている。よって「力」のサポートというよりは、「心」のサポートが最も重要となっている。

 AIで簡単な会話ができるロボットは、要介護者の一時の気分を和らげるのには非常に有効だ。だが、やはりそれは単なる一部であり、大変の介護者の仕事は様々な対処作業だ。歩きながら小便・大便を垂れ流す要介護者への対応は、精神的な消耗が半端ではない。

2015年11月10日火曜日

やっちゃえ、ニッポン!!


 「2020年には自動運転車が利用可能な社会にする」。10月4日の京都における国際フォーラムでの安倍首相の発言だ。3人に一人が高齢者となる10年後を見据えると、この首相発言は重要な意味を持っている。
自動車による交通事故の発生件数は年々減少傾向にあるが、高齢者によるそれは、年々増加しており、昨年度の発生件数に占める割合は2割強で、10年前の約1.9倍となっている。高齢者による高速道路の逆走や、標識を無視した道路侵入などが後を絶たない。交通網が不備な地方都市では、特に車は不可欠だが、加齢が引き起こす不幸な事故は、できる限り避けたい。これを解決に導く技術が、まさに自動運転車の実用化だと思っている。
 首相の発言を知ってか知らずか、1999年に先駆けて開発していた日産が、今年8月に始めた矢沢栄吉の「やっちゃえ、日産」のCM。公道実験を阻害してきた行政にメスを入れ、民間主導で実用化が進むことを願っている。

2015年9月26日土曜日

「美しい日本」で国を二分

「美しい日本」。第一次安倍政権発足時の総理のキーワードだ。多分今も、この言葉を胸に秘めているに違いない。しかし今この言葉の解釈で、国が二分されている。「戦争法案」と揶揄される安全保障関連法案に対して、日本人の美しさに対する認識で国は二分されている。

  「美しい」と「綺麗」とは意味が異なる。前者は内面の凛とした佇まいを指すのに対して、後者は視覚的に整った状態を表す。日本が伝統的に育んだ精神社会は、前者を指す。「人事を尽くして天命を待つ」という諺があるが、これは「全ての可能性に立ち向かう姿勢が出来たならば、後は天に任せる」という意味だ。今に照らしてみれば、自利のみを貫く隣国が存在する限り、万全な備えをすべきと解釈するのが正解なのではないか。仏教の涅槃経第三にも、武器を持つことへの勧めが明記されている。 究極的な場面で、「そこまでするなら話し合うぞ!」は通用しない。

2015年9月1日火曜日

デザインの模倣の行方は


 とうとう東京オリンピックでの佐野氏のエンブレムが使用取り下げとなってしまった。結果としては、佐野氏が記者会見で説明した当初のデザインコンセプトが、採用が決定した際のデザインに反映されていなかった食い違いをみると、やはり「パクリ」と言われても反論できないだろう。
ただ考えてみると、文化とはパクリから始まるのが大半だ。特に日本は「ものまね猿」ともかつて言われており、品の無い中国のパクリとは全く異なるが、大なり小なりパクリによって玉ねぎ文化といわれる今の文化を形成してきた経緯がある。

 しかし日本の「パクリ文化」は何が違うのかといえば、最初はパクリでも、日本人にフィットした機能を追加している点にある。縮文化よろしく、団扇を扇子に形状変更するなど、機能性を重視しており、パクリではないが、ソニーのウォークマンなども機能を追求した結果の商品といえる。
 では西欧との違いは何なのかというと、日本は引き算で余計なものをそぎ落とした形を追求するのに比べ、西欧は足し算による形状の豪華さを尊重する傾向にある。所謂造形美の追求だ。

 今回の佐野氏のパクリ問題には、若干評価すべきこともあるように思う。それは、日本文化に存在する「デザインの多機能性」を持たせた点である。つまり、造形的には模倣といわれても仕方ない部分が確かにあるが、そのデザインを基にした使用の多様性を持たせている点にある。これぞ日本の機能に端を発したデザインであると言えまいか。

 今回の事案で、佐野氏への攻撃はしょうがない。しかし、パクリの範疇を考え直す機会となってくれればと思っている。

2015年6月9日火曜日

大阪の現実が日本の現実

先日大阪で行われた大阪都構想の住民投票で反対が若干上回り、橋下市長の任期一杯での政治家引退が発表された。色々と彼なりの思惑もあるとは思うが、当面は政界から離れることとなるのだろう。

 ただマスコミでも出口調査の結果が紹介されている通り、あの住民投票は、20、30歳代は6割賛成で、それ以降の世代も賛成が過半数となっている反面、70歳代のみが6割反対となっており、また市の都心部賛成で周辺部反対という結果は、まさに今の日本の社会悪を露呈している内容となっている。

 高齢者の投票率は高く若年層は低い。また都会は革新的だが田舎は保守的な傾向が強い状況は、全国どこも同様であろう。兎に角変化を嫌う高齢者層が現在の日本を牛耳っている構図が見て取れる。また政治家も「票」が欲しいため、大票田の高齢者に向けた甘い言葉の政策を標榜する。これでは、下山の域に入っている日本社会は進化することは不可能だ。

 18歳以上に選挙権を与えることがやっと決まったが、それに合わせて認知症患者の可能性が高く、また判断能力も低下している高齢者に対しても、選挙への参加を制限するような施策を検討していかなければ、これからの日本は危険領域に達していくだろう。

2015年4月6日月曜日

心が宿る伝統工芸


 伝統工芸品には、当然ながらその地方の歴史や文化、作家の心が宿っている。
 ただ、写真の「交換こけし」には、さらに買った人の気持ちと、もらった人の思い出が宿ることで、単なる伝統工芸品としてではなく、「作り手」が「買い手」と「もらい手」を繋ぐ世界観を髣髴とさせ、癒しが拡がり、実生活に取り入れてみたい気分にさせてくれる。

 この作品は、BS朝日のテレビ番組『アーツ&クラフツ商會 presented by セキスイハイム』で、放送作家の小山薫堂さんが企画・監修した伝統工芸品らしいが、さすが小山さん。感性が進んでいる。素晴らしい。

 約200年の歴史がある「こけし発祥の地」と言われる宮城県北部・鳴子温泉郷でつくられる「鳴子こけし」をフィーチャーして創作されたそうだが、一方通行では終わらない、様々な「手」を結んだ関係性マーケティングの要素を盛り込んだ本作品は秀逸だと思う。これでいいのだ!!!

2015年4月4日土曜日

言葉なくして人は動かない


 町が俄かに騒がしい期間がやってきた。統一地方選挙である。
 前から願っていることだが、投票を促すのであれば、せめて自らの公約を理論的に実現する方向性を示してもらいたい。そのためには公開討論会は欠かせないだろう。賑やかに立候補者の名前とお願いを繰り返すだけの街宣では、何の選択肢にもならない。
 
 公開討論会は、全国的にみても実施する選挙区は少ないが、島根県での地方議員選挙については、全く実施されないようだ。それでなくても、立候補者が少なく選択肢がない中で、より良い投票行動を起こすためには、立候補者の本当の考え方がわからなければ、投票所にいくことはまず考えられない。当然若者は行くはずもなく、政治への参加意識はさらに低下していくこととなる。
 
 記者会見で号泣した意味不明な県議会議員もいたが、政治離れを止めるためには、言葉の力を政治に生かして欲しいと願っている。

2015年3月24日火曜日

素直に欲しい、富士山ロックグラス


 観光省後援の「おみやげグランプリ2015」にて最優秀賞を受賞した江戸硝子富士山ロックグラス。注ぐ水の色により、様々な富士山が現れる。
 
 素直に欲しい。ただ、今予約しても2か月待ちだそうだ。人気が出るのもうなずける。
 
 伝統工芸作品の美しさは当たり前ではあるが、そのものが日常的に自分に何を与えてくれるかが創造しやすモノこそが、購入意欲を掻き立てるし、ビジネスとして成立するのである。
 
 2か月待ってでも是非購入したい。

2015年2月7日土曜日

訪日観光客は欧米客に絞るべし!!


 訪日客が年間1200万人を超える勢いで伸びている中、消滅の可能性を何とかくい止めようと、全国では「ひと・まち・しごと創生」で知恵を絞っている最中だ。
 そんな中、観光振興による「外貨」獲得も重要な要素なのだが、島根県においての訪日客は、欧米人を想定すべきだと思う。

 観光庁の資料では、訪日外国人の国内消費額において、中国人は確かに高額だが、消費税免税制度の利用率をみると、中国は38.3%、米国が3.7%、フランスが8.4%と、消費内容は全く異なる。つまり短期間に都市部で日本製品を爆買して帰るアジア人と、長期滞在で文化体験を楽しむ欧米人という姿が見える。

 精神社会の到来と言われて久しいが、地方都市の訪日客誘致には、特に欧米人向けに重要なコンセプトとなる。広島県と連携して、「ひろしまね(広島と島根)物語」を訴求し、いにしえに癒されて、世界平和を味わうツアー。富裕の欧米の知識層には受けるのではないか。

2014年9月6日土曜日

観光には物語を

事業の仕組みを形作る手法としてマーケティングという業務があるが、世間ではステルスとかインバウンドのような横文字で表現した怪しい手法が数多く存在している。しかし、ほぼすべてに共通している要素がある。それは、「物語性」の重要性だと解釈している。

 これは、商品・サービスそのものに「物語性」を付加し、共感を得やすい仕組みづくりをすることであり、ブランディグの二つの要素と言われる「情緒性と機能性」の内の「情緒性」にあたる。

 なぜこの話題を取り上げたかと言えば、その「物語性」を是非とも観光誘致活動に活かしていただきたいから。最近では「おしい、広島」等イメージ戦略が増えてきたとは言え、それを聞いて「だから?」と感じた人も多いのではないか。「そうだ京都、行こう」のような、自身の中で気づきが生まれるイメージ戦略とは言えない。人の心の中に山陰が湧きあがる物語戦略こそが重要だと思っている。

2014年8月7日木曜日

平和の願い 十二代藤林徳扇さん遺族 広島市に寄贈

 京都市を拠点に活躍した伝統工芸作家で、昨年10月に亡くなった十二代藤林徳扇(とくせん)さんがヒロシマをテーマに描いた絵が2日、遺族から広島市に贈られた。戦後に見た被爆地の惨状に心を痛め、平和への願いを込めて10年がかりで制作した。遺族は「世界から訪れる人々に見てほしい」と願っている。  縦140センチ、横38センチ。両手を合わせた女神の姿に「母の愛」を表現した。ルビーなど宝石の粉末を絵の具に混ぜる独自手法で、格調高く仕上げた。  この日、徳扇さんの息子2人が市役所で西藤公司副市長に、実物を披露。十三代を襲名した長男の藤林宏茂さん(53)=京都市上京区=は「『平和の礎は世界共通である母の愛にある』と生前に語っていた」と説明した。  戦後にインド洋の無人島に抑留されていたという徳扇さんは、大竹港から復員して京都に戻る際、被爆地の惨状を見たという。  米国ハワイ州で伝統工芸作家として活動する次男の徳也さん(52)は「広島の犠牲の上に今の日本があるという恩返しの思いが父にあったのだろう」と話した。市はアステールプラザ(中区)に常設展示する方針。
(加納亜弥 2014年6月3日中国新聞)

今こそ寛容性を取り戻そう

   今米国では、「メリークリスマス」が禁句になっていることをご存じだろうか。その理由は、キリスト教徒の祝祭を非キリスト教徒に強要することに繋がるから、だそうだ。現在欧米を中心に、宗教的側面だけではなく、人種的あるいは性別的側面等において、社会全体を同質化させようとする運動が静か...